理事長所信

(社)池田青年会議所
第48代理事長 田村佳寛

<はじめに>
 21世紀は心の時代といわれています。モノの豊かさと反比例して心が満たされず、貧しくなっているからです。心の貧しさは、人間関係の希薄化が大きな要因であり、心が通じていないことで家庭や地域コミュニティの崩壊が起こり、殺伐としたニュースが毎日のように報道されています。世の中には「自分さえよければいい」という考えが横たわり、「相手の立場に立つ」ということが、見失われているのではないでしょうか。
 そんな現代社会には「ホスピタリティ精神」が求められていると感じています。「ホスピタリティ精神」とは、相手を思いやり、相手の身になって考え、心を込めて接する、互恵の精神であり、日本人が昔から大切にしてきたもの、そして今、真に求められているものです。
 私はJCの永遠のテーマである「明るい豊かな社会」の実現のために、人と人とが支え合い、相手を敬いながら社会を形成していく「心が響きあう社会」の実現をめざして「ホスピタリティ精神」が息づくまちを創造していきたいと考えます。本年度、社団法人池田青年会議所は「スマイルで熱い想いを伝えよう ~ホスピタリティ精神が息づくまちをめざして~」を スローガンに掲げ、熱い志を持つメンバー全員の力を結集し、すべての人が暮らしやすく、笑顔が絶えないまちづくりのため、「ホスピタリティ精神」をもって、市民ひとり一人の心に働きかける運動を実践してまいります。

<更なる進化のための改革>
 いよいよ公益社団法人格取得に向けて具体的に動き出す時期に来ました。2009年度の決算で公益的事業の支出が50%以上あれば、定款や運営規定なども変更し、具体的な申請作業に取りかかることになります。これを機により一層公益性を重視した事業を展開し、誰のために、何のために存在する団体なのかをメンバー全員で再認識することで組織を進化させることができると考えます。
 また、昨年に引き続きLOMの運営方法についても見直しを行い、「参加しやすく、誰もができるJC」にむけての改革を継続してまいります。メンバー誰もがJC・仕事・家庭についてバランスよく保てるように、参加率向上や負担軽減につながる手法を考え、実践してまいります。

<会員拡大意識の拡大>
 私はJCを通して色々な人との出会いや日常では味わえない経験、感動や喜びを得ることができました。池田JCに入会したことで今日の自分があると感謝しています。だからこそ、JCに対して自信と誇りを持ち、会員拡大を行っていくことが本来の姿であると考えます。「明るい豊かな社会」の実現を訴え続ける団体として、まずはJCにプライドを持たなければ、他人を説得することは出来ません。会員拡大をメンバー全員で行うためには、メンバーひとり一人が共通の認識を持ち、同じ方向を向いて活動していくことが重要です。組織の存続だけでなく、JC運動の輪を広げていくためにもっとも重要な課題、それが会員拡大であります。地域で頑張っている同年代の若者にJCの素晴らしさを伝え、多くの仲間と共に歩んでいくために、メンバー全員で会員拡大に取り組んでまいります。

<地域社会に貢献できる人財の育成>
 池田JCは、市長をはじめ、市・府議会議員、国会議員などの政界だけでなく、経済界にも多くの人財を輩出してきました。JC活動を通じて切磋琢磨し、自分自身を磨き、高めることができる環境が整っていた成果であると思います。今も池田JCには個性的でプラス思考のバイタリティー溢れるメンバーが沢山おり、メンバーとの交流の中から「元気」や「勇気」をもらい、明日への活力を養うこともできます。
 青年会議所という学舎には、積極的に活動すればするほど自分自身の器を広げ、可能性を伸ばす環境があります。新入会員をはじめ、メンバーにおいても「あの先輩のようになりたい」というような良きリーダーの背中を見て、次のリーダーが育まれるという良い循環を生み出し、JC活動を通じてリーダーとしての資質を備えた地域社会に貢献できる人財の育成を行います。
 まちづくりはひとづくりから、そして、まず自分づくりからはじまります。変化の激しい時代を生き抜くには、独創的なアイデアを立案する感性と自分らしさを持つことが必要であり、クリエイティブな体質を強化しなければいけません。人の思いつかないこと、やらないことに挑戦し、イノベーションを起こす。そんなオンリーワンの存在になれば、世の中が大きく動いていく中でもそのスピードに振り回されることなく、社会の中で自らの存在感を創り出すことが出来ると考えます。
 我々のめざす「明るい豊かな社会」の実現とは永遠に未完です。それは無限に創造できる可能性があるからです。新たな創造に情熱を燃やす人財がいる限り、歩み続けることができます。メンバー全員で新しいメンバーを発掘し、ホスピタリティ精神をもって育て上げ、地域に多くの人財を輩出していきたいと考えます。

<フォロワーシップでつながる組織づくり>
 メンバーの様々な意見を引き出し、まとめ上げ、一体感をもって事業を行うには、現在のような委員会単位での縦割り体制では難しいと感じています。ひとつ一つの事業について担当委員会と他のメンバーでは温度差があり、担当委員長に責任と負担が重くのしかかってしまいます。この負担をメンバー全員で軽減させ、担当委員長と同じ想いを共有し、一体感をもって事業を行うためには、メンバーのフォロワーシップが必要なのです。
 フォロワーシップとは、リーダーのビジョンを達成するために自律的に判断し、行動すること、リーダーを本当のリーダーにするためにフォロワーとなり、行動することであります。   「一人がみんなのために、みんなが一人のために」という想いで、メンバー全員が高いモチベーションを維持し、それぞれの個性を活かすことができれば、固い絆で結ばれた強い組織へと成長することができると考えます。

<池田JCのブランディング>
 JCの存在意義を高めるためには単なる広報活動ではなく、ファンづくりや認知度アップに向けたブランディングに取り組む必要があります。ここ数年、公開例会等の事業を通じてJCの存在を認知し、理解していただける市民の数は着実に増えてきていると実感しています。これはひとつ一つの事業において我々の熱い想いが市民に伝わっている成果であり、これからも公開例会や公益事業を通じて市民ひとり一人の心に働きかけ、JCを応援してくれる市民の輪を広げていくことが必要です。
 また、我々自身がもっと地域活動に参加することも求められています。JCだけでなく、PTAや地域の活動にも参加することで、地域住民との交流を通じて市民のニーズを探ることや事業への参加・協力を直接依頼することも出来ます。そして、様々な活動においてJC活動で培ったノウハウや行動力が地域においても発揮されれば、地域住民の方々も我々のことを頼りにし、JCに対するイメージも変わってくるはずです。
 さらに具体的な活動として、我々の行う事業については目的や内容だけでなく、実施に至るまでの過程についても「スピーディー」かつ「分かりやすく」市民に伝わるようにWEBサイトで情報公開することが必要です。従来のホームページだけでなく、ブログも立ち上げ、メンバー全員で情報を共有し、発信できる環境を整備します。広報いけだへの無料掲載、ケーブルTVへの取材要請やプレスリリースはもちろんのこと、今まで事業に参加していただいた方々に継続しての参加を促すファンづくりに向けた活動も実践し、色々な角度から池田JCのブランディングにつなげてまいります。

<未来を担う子ども達の育成>
 変化の激しい時代を迎えている中で、将来子ども達が社会に出たときに求められるのは「生きる力」だと言われています。「生きる力」とは、自分で課題を発見し、解決するために考え、多様な人と関わりながら行動する力、他人を思いやる気持ちや感動する心などの「豊かな人間性」、たくましく生きるための「健康や体力」の知・徳・体のバランスの取れた力のことです。今、目の前にいる子ども達は将来の日本を背負っていく子ども達です。そんな未来を担う子ども達に「生きる力」を身につけてもらう機会を創出したいと考えています。
 さらに、子ども達だけにスポットを当てるのではなく、子ども達を育む環境づくりにも目を向けるべきです。子どもは親の背中を見て育ちます。教育の原点は家庭にあり、親が変わらなければ、子どもも変わりません。親が率先して自らの人格を磨き、親としてどのように子育てをすることが望ましいのか、信頼しあう親子関係を作るには何が大切なのか等を学び、親が意識改革することで子どもに手本を示すことができると考えます。
 未来を担う子ども達のために、今、JCがすべきことをメンバー全員で考え、行政、教育委員会、各種団体とも協力し、ホスピタリティ精神をもって実践してまいります。

<連携と協働の時代にむけて>
 これからのJCに求められるのは「地域マネジメント力」です。地域の抱える問題点や課題点を探り、その問題や課題を各種団体や地域の方々と共に手を携え、考え、解決していく役割、すなわちコーディネイターとしての働きが求められています。また、協力や後援をさせていただいている各種団体の事業についても、もう一歩踏み込んで企画や運営に参加することで相乗効果を生み出すこともできるはずです。地域に必要とされる存在であり続けるために、ホスピタリティ精神をもって行政、学校、各種団体との連携を深め、協働型の事業を企画、展開してまいります。

<さいごに>
 生まれ来る未来の子ども達のために、私たちは何をし、何を残してあげられるだろう。
未来が今よりもっと幸せであることを願い、JCが今「できること」「すべきこと」「したいこと」を全員で考え、熱い想いを共有し、笑顔で市民ひとり一人の心に届けていく…。
 今を生きる私たちには、その責任があります。
 ホスピタリティとは、人と人、人と自然が共生し、調和するためのキーワードです。
 日本人が忘れかけているこの言葉を我々の手で必ず再生させましょう。